【東御のコイビト】episode①~農と発酵、そして子どもたちの元気な声。東御市で醸す愛おしい暮らし
ー 埼玉県からご家族(ご本人・旦那様・お子様2名)で移住したひぐちまりさんのお話 ー
2023年4月、 埼玉県から長野県東御市に移住したひぐちまりさん。 現在は税理士事務所に勤務しながら、 麹の学校認定講師・幼児食インストラクターとしても活動しています。
東御市に移住後のひぐちさんの毎日は、 まさに “農と発酵のある暮らし” 。 今の暮らしがとても愛しく、 充実していると話すひぐちさんにお話をうかがいました。
東御での暮らし
移住3年目というひぐちさん(2025年10月の取材時現在)。 すっかり東御市の暮らしに馴染み、 仲間の皆さんとの米作りや、 ご自宅前の畑での野菜作りなど、 “農のある暮らし” を楽しんでいます。 移住して一番変化したことはどんなことでしょう?
「一番大きな変化は、 2024年から田んぼを始めたこと。 春から秋は田んぼのことで頭がいっぱいです。 お米は完全無農薬で育てているので、 雑草も多くて管理は大変です。 でも自分たちで作ったお米は本当に美味しくて。 お正月前にはお餅つきもしたんですよ。 また、私は麹を自分で手作りしていますが、 自分で育てたお米で作る麹は、 本当に一粒一粒に愛着を感じます。」


田植えや稲刈りの様子
お米や麹のほかにも、 年頭に行う味噌や醤油の仕込みから始まり、 春になると山菜や野草、 5~6月には淡竹(はちく)や梅、 夏はトマトやきゅうり、 すいかやハヤトウリなどさまざまな野菜、 秋には柿、 冬になると白菜や大根、 野沢菜など…ひぐちさんの毎日は、 四季折々の恵みの収穫ととともに大忙しなんだそう。
「季節ごとの作物を旬を逃さずにいただく。 保存食として仕立てる。 そんな手仕事は1年中途切れることはなく、 忙しくも楽しい毎日です。 」


梅の収穫(左)。 かわいい干し柿泥棒を現行犯逮捕!(右)
No Koji, No Life.
ひぐちさんは麹をはじめとした発酵調味料に関わる活動もしているんですよね?
「麹を作り始めて6年ほど、 麹の学校の認定講師の資格も取得し、 毎日の食生活に麹を取り入れています。 また、 麹だけでなく味噌や醤油などの発酵調味料にもとても興味があるんです。 昨年から麹や発酵調味料に関するワークショップも始めました。 麹を使って作った甘酒を、 海野宿のイベントで販売もさせていただいたんです。 」
麹や発酵調味料についての知識や経験を深め、 活動の幅を広げているひぐちさん。
今は、 平日は税理士事務所で働き、 休日に麹と田んぼのことをする、 というスタイルですが、 いずれはこの比率を少しずつ変えていくのが目標。
「具体的には、 麹の文化を伝えていく活動をしたいと思っていて、 麹調味料を使った子ども向け(親子向け)の料理教室などもしたいですね。 麹について、 学校の授業で扱ってもらえる機会があれば講義もしてみたいですし、 住んでいる集落の麹室で味噌や醤油の仕込みもできたらいいですね。 」

お話をうかがった日は、 麹を作る過程も見せていただきました! 蒸したお米に麹菌(種麹)をまぶし、 ビニール袋に入れて小分けに。 これを2日間ポケットに入れて保温・発酵させて麹を作る「ポケット麹」を教えていただき、 お土産にいただきました
チャレンジしたいことがたくさんありますね。
「昔から歴史好き。 麹のほか、信州といえば!の味噌の歴史・地域性を掘り下げていくうちに、 その興味は今暮らしている場所の食文化へと自然に広がっていきました。 麹だけにとどまらず、 東御市の食や発酵の文化・歴史を学び、 それを後世に伝えていくお手伝いも出来たら嬉しいです!」
移住してすぐ 『【信州】東御 食の風土記』 という本を購入したというひぐちさん。いつか制作にかかわった方にお話が聞きたいと思っていたら、 今年度は料理教室を開催されているということで、 参加しているんだとか。
この料理教室のほかにも、 酒蔵や味噌蔵を巡ったり、 地域の大学で開催されている味噌・醤油作りなどの取り組みに参加したりと、 ひぐちさんの探求心は増すばかりの様子! 自然の菌で作る昔ながらの味噌作りを見せてもらったり、 麹室を見せてもらったりと、 なかなかできない貴重な体験もさせていただいたそう。
お気に入りの場所
東御暮らしを楽しむひぐちさんのお気に入りの場所はどこですか?
「自宅からもほど近い児玉家住宅(カフェ)にはよく行きます。 児玉家住宅を営む児玉さんご家族とは、 子どもの年齢が近く、 通っていた保育園も一緒。 そんなご縁で、 家族ぐるみで仲良くさせていただいているんです。 」
昨年から始めた米作りも、 児玉さんからお借りした田んぼで、 児玉さんに教えてもらいながら行っているそう。 作業中はお子様たちは児玉さん宅で遊ばせてもらい、 作業後 余裕のある時には、 ドイツ人の奥様手作りのドイツ風ケーキをいただくのも楽しみなんだとか。

ご家族でよく訪れる児玉家住宅はお気に入りの場所
「東御中央公園、 芸術むら公園、 上田市民の森公園にも子どもたちとよく遊びに行きます。 最寄りの東御中央公園に行くと保育園や小学校のお友達に会うことも多く、 一緒に遊んでいて気が付くと何時間も経っていることも! 東御市の公園(保育園も)は芝生がきれいに保たれているので、 とても気持ちがよくて好きです。 」

広々とした広場が広がる東御中央公園はお子様たちも大好き
ひぐちさんのお話をうかがっていると、 地域の方々が笑顔で交流する和やかな風景が目に浮かぶようで、 聞いているこちらもほっこりしました。
地域の風習などは取扱説明書が欲しいと思うことも…
移住後の暮らしでギャップを感じる、 思っていたものと違った、 なんてことはなかったですか?
「移住後、 ギャップを感じることはあまりありませんが、 お通夜は伝えられた時間に行くともう終わってしまっているなど、 地域の風習などは取扱説明書が欲しいと感じることもあります。 」
確かに! 地元の方はそれが当たり前なので、 わざわざ説明なんてしてくれませんが、 外から来た人にとってはびっくりな “地元の常識” ってありますよね。
お通夜以外にも、 皆さん集合がとても早くて、 伝えられた集合時間に行くと自分以外は全員集合、 一人だけちょっと遅れたような雰囲気になってしまったりすることもあります(笑)
時には困惑することもありつつ、 どんど焼きや神社のお祭り、 道祖神のお祭りなど、 今も地域ごと守られている昔ながらの行事をご家族皆さんで楽しんでいらっしゃるそう。

地域のどんど焼きにて。柳の枝に繭玉(お団子)を刺してあぶって食べます
信州あるあるのおすそわけ文化にも感激。
「我が家で食べきれない野菜を近所の方にお渡しすると、 翌日ブドウになって返ってきたりするんです。 『B級品だから!』 と言ってくださるのですが、 それがとても美味しくて! 埼玉に帰省した際、 スーパーでブドウを買う気にはなれません。 ブドウに限らず、 ほかの野菜も果物もすべてがおいしいです。 」
ひぐちさんのご自宅で苗箱が必要になった際には、 近所の方に相談すると、 翌朝 ひぐちさんのご自宅前に大量の苗箱が運ばれてきた、 なんて出来事も。 人と人とのつながりが温かい、 優しい世界が広がっているそうですよ。
移住を考え始めたきっかけ
今では東御暮らしを満喫されているひぐちさんですが、 移住前に暮らしていた埼玉県は、 ひぐちさんご夫妻のご実家もある場所。 住み慣れた埼玉県を離れ、 長野県に移住しようと思ったのはなぜでしょうか?
「夫が農業をやりたいと希望していたんです。 埼玉にも農地はあるけれど、 都市のイメージが強く、 農業をやるなら別の場所で、 と考えていたようです。 また、 子どもを自然豊かな環境で育てたかった、 というのも大きな理由です。 」
ひぐちさんが理想とするのは、 家の玄関を出て、 子どもたちがすぐに遊べる環境。 埼玉で住んでいたマンションでは子どもたちが元気すぎて、 近隣の方から注意を受けることもあったそう。 「ストライダーに乗って遊びたい!」 という子どもを連れて出かけても、 近くに広い公園がなく、 ストライダーで遊べる公園まで車で移動しているうちに子どもの遊びたい熱が冷めてしまう…なんていうことも。
ご結婚、 お子様の誕生、 コロナ禍…さまざまな状況の変化を経て、 ひぐちさんにとって 「移住」 はどんどん現実的なものになりました。
一番の課題は住むところ
移住に際してはお子様がのびのび暮らせる環境を求めて、 戸建ての賃貸を探していたというひぐちさん。 条件に合う家が見つかるか…。 移住についてご夫婦で話をすると決まってこの話になるほど、 樋口さんご夫婦にとって一番の不安材料でした。 移住前の居住地での保育園問題などもあり、 2023年4月までには家を見つけたい…というタイムリミットもありました。 お家探しは空き家バンクを活用。 東御市が最有力の候補地でしたが、 近隣の上田市や小諸市の物件も含め10件ほど、 東御市内でも3件の物件を見に行ったそうですよ。
そうして出会った今お住まい。 建物は古いですが、 理想だった子どもたちが玄関を出てすぐに遊べる環境なうえ、 これまでも大切に住まわれてきた雰囲気があり、 とても気に入っているそう。

移住暮らしの理想を叶える、 広いお庭のあるご自宅
子どもの環境変化は不安であり楽しみでもあり
ひぐちさんにはお子様が2人(移住当時、 年中と1歳)。 移住に際してお子様が新しい環境になじめるか、 というのも心配事の一つかと思いますが、 いかがでしたか?
「移住当時、 年中になった上の子は、 移住前に通っていた保育園のお友達や先生が大好き! いろいろなことが分かってくる年齢ということもあり、 1歳からずっと通っていた保育園を離れるという環境の変化が与える影響は少なからず不安でした。 でも、 同時に、 彼女のコミュニケーション能力を信じていたので、 新しい環境でもきっと楽しい保育園ライフを過ごしてくれるはず、 と期待もしていました。 」
ご自身の子どもの頃は、 埼玉県も自然が多く、 農道を走り回ったり、 里山の中で基地づくりをしたり…と毎日泥んこになって遊んでいたというひぐちさん。 お子様たちにもそうやって思いっきり遊べる場ができるといいな、 と以前から思っていたそう。


自然の中でのびのびと遊ぶお子様(左は東御市の遊びながら山を整備するイベントに参加した時の様子、 右は東御中央公園の噴水)
今では、 お友達もたくさんでき、 お子様たちも楽しそう。
「学校や保育園で、 毎日くたくたになるまで遊んでいると思いますが、 帰ってきた後も、 庭で遊んでいる声が聞こえてくるんです。 楽しそうな声を聴いていると、 移住してよかったと思います。 」


玄関先で採れたて野菜をもぐもぐ(左)。 帰宅後も、 玄関を出たらすぐ広いお庭でのびのび遊べる(右)
仕事探しのネックは地域に特化した情報の不足
移住するにあたり、 お仕事探しはどのように進めたのでしょうか?
移住前はご夫婦ともに飲食店勤務。 コロナ禍を経て業務縮小が課題となっていたこともあり退職されました。
「私は環境が変わる家族をサポートしたくて、 正社員でリモート可、 時短勤務ができる職場、 という条件で仕事を探しました。 転職エージェント、 ハローワーク、 その他転職サイトなどから幅広く情報収集。 大手エージェントも利用しましたが、 エリア担当者はいるものの、 東信地区に住んでいるというわけでもないため、 地域の会社情報や地域特有の情報のようなものの提供は少し物足りないと感じました。 」
転職活動を始めて3か月程度で、 ひぐちさんは上田市内の企業に転採用が決まりました。 農業志望の旦那様の就職先がすぐに見つかるとも限りませんでしたし、 住むところ重視で移住のタイミングを模索していたため、 研修生として農業の現場に入るタイミングも逃してしまうという事情もあり、 採用が決まった時にはとてもほっとしたそう。
ところが、 就社した地元企業は社風が合わず、 ひぐちさんは研修期間で退職してしまいます。 そんな時、 移住前にお世話になっていた税理士事務所の代表から、 移住するなら仕事を手伝ってほしいと声を掛けていただき再就職。 フルリモートで時短勤務可である現在の仕事は、 より自分の希望に近い環境でした。

現職は税理士事務所で、 会計補助のかたわら、 AIを活用した業務効率の改善推進と、 お客様の自計化支援を担当しているそう。 まだまだ発足したばかりのプロジェクトで試行錯誤が続いているといいますが、 新しいことを勉強するのはとても楽しいんだとか。
また、 リモートワークなので、 お子様の急な発熱の時も、 自宅で様子を見てあげながら業務に取り組むことができますし、 今年小学生になった上のお子様が「児童クラブに行かずに帰宅したい」という日に、 希望を聞いてあげられるので、 再就職してよかったとお話しされていました。
移住後のイメージにこの街は合うか、そこに自分たちはいるか
ひぐちさんの考える、 「移住を成功させるために必要なこと」 ってどんなことですか?
「実は、 独身時代にも移住を考えたことがありましたが、 私は一人では一歩を踏み出すことができませんでした。 でも、 結婚後に 「移住に興味がある」 と夫に話すと、 夫も同じような想いを持っていて。 家族間でもきちんと希望を伝えて、 どんな暮らしがしたいか、 どんな子育てがしたいか、 二人のイメージを膨らますことがとても大切だと思いました。 」
また、 興味のある土地は必ず足を運んで、 ご自身の移住後のイメージにこの街が合うか、 自分たちはそこにいるか、 想像できるかどうかも大切だとお話しされていました。

ご自宅近くの農道で
移住で人生をより豊かに
ひぐちさんにとって移住とは?
「ありふれていると思いますが、 私にとって移住は “人生をより豊かにしてくれるもの” 。 都会には都会の良さがあるかもしれません。 でも、 私や夫には、 ずっと暮らしてきた都会での生活は少し合わなかったようです。 今の東御市での暮らしがとても愛おしく、 毎日が充実しています。 」

ご家族で協力して農作業!
\暮らしてわかった/
東御ってこんな街
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移住して3年目、 実際に住んでみて東御ってどんな街ですか?
★本当に、 日当たりがよく雨が少ない!
夏場は特に、 ちょっと気を抜くと雑草がすごいことになります(笑)
★冬は外にいる人は少なくて、 春になると里に人が増える!
まるで、 冬眠から目覚めた動物のよう(笑)
★地域の方が朗らかで元気! 親切で子どもに優しい方が多いです。
子どもを連れていると、 話しかけてもらう機会がとても多いのも嬉しいんです。
★昔ながらの風習が残っていて、 地区ごとの文化の違いもおもしろい!
自分が暮らしている地区、 近隣の地区、 夫の職場のある地区、 同じ市内でも文化が違い、 その違いを知ることも楽しいです。

少し高台にあるひぐちさんのご自宅近くから望む景色。 東御の街が見下ろせる。
麹仕事をしながらも、 笑顔でいろいろなお話を聞かせてくださったひぐちさん。
地域に馴染み、 そこで共に暮らす皆さんとの交流を楽しみながら醸すひぐちさんの東御暮らしは、 どこまでもナチュラルで軽やかでした。
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麹のワークショップ開催情報などは、 ひぐちまりさんのInstagramでチェックできます。
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